【2023年度中学入試結果】東京・神奈川(全体・共学編)

2023年度も2月1日から東京都・神奈川県で私立中学入試が行われました。コロナ禍4年目となる今年の受験者数の増減の全体的な傾向と、共学に焦点を当てた受験者動向について森上教育研究所がお伝えします。

2023年度も2月1日から東京都・神奈川県で私立中学入試が行われました。コロナ禍4年目となる今年の受験者数の増減の全体的な傾向と、共学に焦点を当てた受験者動向について森上教育研究所がお伝えします。

受験者数は東京で増加、神奈川は前年並み

人口移動とコロナ禍が私学受験者増の追い風に

2023年度の東京都と神奈川県の私立中学入試の受験者数は43,019人で、東京都は前年より2.6ポイント増で約1,000名の大幅増加、神奈川県はほぼ前年並みとなりました。東京都の小学6年生人口は前年比99%でやや減っていることを考えると、2.7ポイント増というのはかなりの増加です。

この背景として、中学受験熱の高い東京都の都心湾岸の地域で小学生人口が増えていることがまず挙げられます。都心部では、中学受験を経て進学する子どもの割合が約4割に上り、受験する割合はその倍の7、8割にまで達している可能性があります。そうした受験意識が高い地域への人口流入が受験人口押し上げにつながっていると考えられます。

もう一つ要因として挙げられるのは、4年目となったコロナ禍です。コロナ禍での公立中学の対応に不満を持つ人々の増加に加え、オンライン学校説明会やWeb出願などで私学の情報収集や出願が格段に容易になったことも、本来は公立中に進学していた層が私学の受験へと向かう要因となっていると思われます。

午後入試の増加傾向が顕著に

入試日別で受験者数の増加が著しかったのは、東京都の1日と2日の午後入試です。近年午後入試は増加傾向にあり、昨年は1日の午後入試と2日午前入試の受験者数が逆転し、1日の午後入試のほうが多くなりました。今年はさらに2日の午後入試と3日の午前入試を比べた場合に2日の午後入試のほうが多くなっています。

これは午後入試を活用することで、どんどん前倒しをして受験する傾向が強まっているということです。神奈川県も同様に午後入試の受験者が増加しています。

上位層と中下位層が増加し二極化へ

また、今年の傾向として偏差値60から65までの難しい上位校と偏差値40から50前後の中下位校の受験者数の増加という二極化現象が挙げられます。上位校の増加は、コロナ禍で遠方の難関校の受験を控えていた層が、withコロナの風潮で再び広域から難関校を目指すようになったことが影響しているでしょう。また、塾や模試も通常に戻りつつあることで十分学力を蓄えられたことも上位校の受験者増に寄与していると考えられます。

中下位校の受験者数の増加は、前述の本来は公立中に進学していてもともと中学受験を考えていなかった層が、私学受験に挑戦するようになったことが要因でしょう。そうした意味でコロナ前とコロナ後では、かなり受験者層が変化しているといえます。

共学校の2023年度受験者動向トピックス

共学校は偏差値45から50台前後の学校で増加傾向

共学校に絞って受験者数の動きを見てみます。共学校は昨年度に比べて受験者数にはそれほど大きな変化はありませんが、偏差値45から50台前後の学校で受験者数が増えてきています。これまで偏差値30から40の中下位校に集まっていた受験生がより上の学校にシフトし、受験生の増加する偏差値帯が徐々に高くなりつつあります。

たとえば、偏差値50台前半の成城学園は76名、東京都市大学等々力は47名、安田学園では94名受験者数が増えました。これらの学校では、男女とも同程度受験者数を伸ばしています。

23
SS
学種学校名23試験名23
入試日
23
PM
23
男女
23按分定員22仮値
受験者
23仮値
受験者
22仮値
合格者
23仮値
合格者
22仮値
実倍率
23仮値
実倍率
51私立成城学園一般第1回2/113516521563662.623.26
54私立成城学園一般第1回2/123521424057533.754.53
53私立東京都市大学等々力第1回特選2/1215779751301.513.23
51私立東京都市大学等々力第1回特選2/11158411130392.802.85
50私立安田学園先進特待第1回2/11352773251011392.742.34
52私立安田学園先進特待第1回2/12302553011181312.162.30

付属、系属校はおおむね高止まり

共学の付属校、系属校については、ほとんどの学校で人気は高止まりとなり、受験者数はやや減少もしくは微減と落ち着きを取り戻しつつあります。たとえば日本大学系の共学付属校はほとんどの学校で受験者数を減らしました。

例外的に受験者数を伸ばしたのは、青山学院横浜英和です。2022年度に系属校となってから初めて、卒業生の6割弱が青山学院大学へ系属校推薦で進学し、公約どおりの結果を出したことで評価が上がったと考えられます。青山学院大は女子の人気が根強いこともあり、男子の増加はそれほどでもありませんでしたが、女子が204名増加しました。

23
SS
学種学校名23試験名23
入試日
23
PM
23
男女
23按分定員22仮値
受験者
23仮値
受験者
22仮値
合格者
23仮値
合格者
22仮値
実倍率
23仮値
実倍率
55私立青山学院横浜英和A日程2/1115408237241.083.42
57私立青山学院横浜英和B日程2/2111011115424244.636.42
56私立青山学院横浜英和C日程2/31110150155141310.7111.92
57私立青山学院横浜英和A日程2/123514920654662.763.12
59私立青山学院横浜英和B日程2/2122022032570653.145.00
58私立青山学院横浜英和C日程2/3122023427639346.008.12

「国際」を冠する新名称の学校の躍進

2023年度入試では、「国際」の名を冠する学校が一躍人気を集めました。2023年度から校名を東京女子学園から変更し、共学化した芝国際では大変な人気が集まり、合格発表が夜中の0時を過ぎる事態が起きるほどでした。

また、同様に2023年度より目黒星美学園から名称を変更し共学化したサレジアン国際学園世田谷も芝国際ほどの高倍率ではないものの受験生を集めました。やはり、こうした「国際」の名を冠する学校はより積極的に新しい教育を取り入れようとしている姿勢が評価されていると考えられます。

23
SS
学種学校名23試験名23
入試日
23
PM
23
男女
23按分定員22仮値
受験者
23仮値
受験者
22仮値
合格者
23仮値
合格者
22仮値
実倍率
23仮値
実倍率
47私立芝国際(旧:東京女子学園)一般生2月1日午前2/1110-165-13-12.69
48私立芝国際(旧:東京女子学園)一般生2月1日午前2/121071637151.0010.87
50私立芝国際(旧:東京女子学園)一般生2月1日午後特待2/11112-338-21-16.10
51私立芝国際(旧:東京女子学園)一般生2月1日午後特待2/1121382598161.0016.19
39私立サレジアン国際学園世田谷(目黒星美学園)第1回午前(本科)2/113-9-4-2.25
39私立サレジアン国際学園世田谷(目黒星美学園)第1回午前(本科)2/123133012141.082.14
40私立サレジアン国際学園世田谷(目黒星美学園)第1回午後(本科)2/1115-43-20-2.15
40私立サレジアン国際学園世田谷(目黒星美学園)第1回午後(本科)2/1125258323371.092.24
40私立サレジアン国際学園世田谷(目黒星美学園)第3回午後(本科)2/3112-42-9-4.67
40私立サレジアン国際学園世田谷(目黒星美学園)第3回午後(本科)2/3122946991.005.11

こうした名称変更を伴う共学化や、高大連携による系属校化などによって、学校が従来とは異なるカラー、特徴を備えるようになることは今後も考えられます。これから志望校選びをする親御さんとお子さまは、そうした情報へも目配りしつつ、親御さんとお子さまとでしっかり志望校選びをしていただければと思います。

まとめ & 実践 TIPS

2023年度の東京都と神奈川県の私立中学入試の受験者数は、東京都は大幅増加、神奈川県はほぼ前年並みでした。東京都、神奈川県とも午後入試の受験者数が増加し、偏差値60から65までの上位校と偏差値40から50前後の中下位校の受験者数の増加が顕著でした。
共学校では偏差値45から50台前後の学校で受験者数が増えました。付属校、系属校はほとんどの学校で人気は高止まりでしたが、系属校推薦で進学者を多数出した青山学院横浜英和で受験者数が増えています。また、「国際」を冠する学校も人気となりました。

プロフィール


森上展安


森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。